f(x+y)=f(x)f(y)を満たすけどf(x)=exp(ax)ではない例
続きです。
前回は
で
を満たすものを探していて、
を見つけたところでした。今回はこれ以外のものを探してみます。
であり、左右を逆にしてちょっといじると
なので、まとめると
です。に注目すると、
ですね。つまり、定義域を有理数に限定して考えると、条件を満たす関数は の形しかありません。
ここまでは前回言いましたね。
これ以外の条件を満たす関数は存在しないんじゃないか、と思って証明しようとしても、うまくいかないんですよね。が連続であると仮定しないと、有理数以外、例えばがどんな数字になるか想像すると、どんな数字にしても成り立つんじゃないかと思えてきます。実際そうなんですよね。定義域に関しては足し算(→整数の掛け算、割り算)しか条件に入っていないので、それ以外にどう設定しても構わないはずなんです。
ここで、ハメル基底というのを紹介します。実数は有理数上の(無限次元)ベクトル空間とみなせます。その基底をハメル基底というのです。
Hamel Basis -- from Wolfram MathWorld
書き直しておくと、がハメル基底であるとは、次の条件を満たすときです。
このハメル基底が、具体的にどんなものであるかは、書き下せないし、わからないんです。 ハメル基底の濃度は連続濃度だし、存在するかどうかも選択公理を認めるかどうかに依存しています。
まあ、細かいことは置いておいて、ハメル基底がとれれば、条件を満たす関数は作ることができます。ハメル基底 に対して、適当に を与えてあげればいいのです。
そうして、自然に拡張して
とすれば良いです。
ハメル基底に が含まれるとして、とおき、それ以外のハメル基底に対しては とでもしてあげれば、求めるものが得られますね。ここで注意しなくてはいけないのは、こうして定義したからといって、具体的にどういう値をとるかわからないということです。
たとえば 有理数じゃないから 、とはならないのです。
ハメル基底に 1 とが含まれていたら、
なんですよね。求める例は作れたけど、人間の想像を越えた世界の例ですね。