『ハイビーム使用を…横断死亡96%が「下向き」』 の件は『警察は統計がわかってない』で済ませてはいけないよね

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↑この読売新聞の記事(の転載)を読んで、死亡事故の96%の車がロービームだと書いてあるけど、そもそもロービームの車ばかりだから死亡事故の車もロービームが多いんじゃないかなと私も思いました。

でも『同県警の検証では、このうち26件でハイビームを使っていれば、ドライバーも歩行者も互いに早く気付き、命が助かった可能性が高いという。』と書いてあったので、この記事に書いてある数字以外にもデータはたくさんあって、そのデータがハイビームの有効性を示しているのかなとも思いました。

で、あんのじょう、『警察は統計がわかっていない』という意見が流れてきたんだけど、さすがに統計をわかっていない訳はないはずなので、ワザとか、途中で数字が独り歩きしちゃっているとか、そういうことかなと感じて少し検索してみました。そしたらいいエントリーが見つかりましたよ。

shigeo-t.hatenablog.com

このエントリーを読んで、そのリンク先であるFNNニュースの動画を見て、私の疑問はだいぶ晴れました。もともとは2016年9月15日の警察庁の記者会見で、それを読売新聞とFNNニュースで記事にしたのですね。FNNニュースのほうはロービームの割合については言及されていないので、読売新聞がつけたタイトルが誤解を与えているのかなと。

ここで読売新聞は統計をわかっていない、と判断しても良いのかもですが、私はわざと統計的に曖昧な表現を使って注目を集めた、と感じました。交通事故を減らすための啓蒙活動の一環でもあるので、注目を集めるのは悪いことではないと思います。でも、そのやり方が甘くて、かえって数字に強い人にとっては信用できない情報になっちゃったのでしょう。

ここまでで、私なりに改善点を書いておくと、下のようになります。

  • 警察庁はニュースからリンクを貼れる形でデータを出しておいてほしい。(今回のような検証がやりやすいように)
  • 読売新聞(や他のニュース媒体)は数字に強い人が見た時に『わかってない』ように思われるようには書かないでほしい。必要な補足情報は載せてほしい。
  • ニュースを読む人は、『わかってない』で済まさないで、上記のエントリーのように冷静に判断してほしい。

さて、警察庁は本当にデータを出していなかったのかな?と思ってもうちょっと探してみました。警察庁から交通事故統計(平成28年8月末)に行って、さらにe-Statの該当のページに飛んで、そこでExcelとPDFのデータを見てみました。ハイビームとロービームの話はここにはなさそうだったのでちょっとあては外れたのですが、これはこれで見応えのあるデータでした。

例えばPDFに載っていたこのグラフ。(3Dグラフであることは置いておいて)

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年齢別で見ると、65歳以上が多すぎる!!! なんか、納得。ネットのニュースを見て書き込んだりしている人たちは実は当事者じゃなくて、おじいちゃんおばあちゃんが気をつけるべき当事者なのね。。。

↓こういうポスターを見て、誰がターゲットなのかイマイチわかっていなかったのですが、やっぱりおじいちゃんおばあちゃんに向けてのメッセージだったのですね。

データにはこれ以外にも(県別の件数とか)見るとためになる分析がたくさん載っていました。やはり警察庁は統計がわかっていないわけがなくて、価値ある分析をしているようですね。でも、この状態では使いにくいデータなので、サンフランシスコのデータのように事故の1件1件をバラして、見る人が自在に分析できるデータとして公開してほしいものです。そうしたらMakeover Monday Challengeのような感じで更に意味ある分析をする人が出てくるかもしれないし!

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