XP祭り2016:吉原さんのエンタープライズアジャイル開発の導入事例
XP祭り2016では吉原さんのエンタープライズへのアジャイル開発の導入事例も目当ての一つだったので、1回家に帰ってから午後にもう一度会場に来ました。
エンタープライズという環境の中でアジャイル開発をしたいという要望があり、そのためにアジャイルコーチとして参加した、というお話ですね。
チームのメンバーはアジャイル開発をしたことがなくて半信半疑であるので、アジャイルのプラクティスを厳選してコアプラクティスとして、その段階での成功を体験してもらって、アジャイルに慣れてもらうという方針で進めていたようです。
多くのプラクティスをいきなり導入しないというのは、半信半疑とか不慣れとかでなくても、チームビルディングとしてはとても重要なことだと思います。どんなに優れたメンバーをそろえても、最初は(チームのルールのようなものである)プラクティスは少なく始めて、ふりかえりを繰り返しながらチームを変えていくという作業が良いやり方だと思います。そういう意味では"ふりかえり"と、そのタイミングを制御する"イテレーション"が、最初にやりたいプラクティスだなと改めて思いました。
吉原さんの講演を聞いていて、タイムボックスをうまく使っているのが印象的でした。終わりが読めない全体設計的な作業に関しては、最初にタイムボックスを決めてしまってその範囲で終わらせる、と。2:8の法則を未来の自分たちに適用する良い作戦だと思いました。
【気になったこと】
・そもそも、エンタープライズってなんでしょうか?
なんとなくわかるけど、いまいち明確ではなくて、エンタープライズの制約だというふうに言われてもそうかなーと思う場面が何度かありました。アジャイルプロセス協議会のエンタープライズアジャイルWGでじっくり聞いてみます。
・プロダクトオーナーの不在問題。
エンタープライズだからプロダクトオーナーをできる人なんてほとんどいない、というのは、私も実感として納得しているところでもあり、一方でそれを解決しないとなにをやってもうまく行かないと思っていることでもあり。プロダクトオーナーって、そのシステムを欲しい人、というプロジェクトのモチベーションであるはずなので、それが明確でないということはそのプロジェクトは不要なんじゃないかなと思ってしまいます。
・アジャイルコーチの必要性
アジャイルコーチは最初からの契約でが3ヶ月間だったようです。でも吉原さんがアジャイルコーチとして参加することでチームはアジャイルチームとしての振る舞いをすることができているようだったので、ずっといるように交渉したほうが良かったのではないかなーと思いました。そもそものプロジェクトが、システムが必要というよりはアジャイルを組織に導入したいという事じゃないかと感じたので、だったらなおさらアジャイルコーチをもっと長期間使ったら良いのじゃないかなと。
おまけ。なぜか会場では最初からエンタープライズ=アヤシイとなっていて面白かったです。終わったあと、小井土さんが「あやしくなかったね」って言ってたり。